
新しいチャネルが世に出ると、 消費者はそのチャネルでコミュニケーションをし始めました。続いて企業が、マーケティング、カスタマーサービスなどあらゆる目的で、顧客へのリーチ、対話、顧客の声の傾聴にその新しいチャネルを使うようになりました。
20年前、紙のダイレクトメールからメールへの移行期に、私はその変化を初めて目の当たりにしました。
当時、私は共同創業者として携わったスタートアップ会社の同僚と企業向けのメールマーケティングプラットフォームを構築していました。 そのためには、コンテンツプランニング、パブリッシング、承認ワークフロー、自動化、ガバナンスなど、大企業が規模に応じて顧客とコミュニケーションをとるためのチャネルとして、メールを使用する際に必要となるさまざまな機能を開発しなければなりませんでした。
さて、時を2000年代中頃まで早送りします。新しいチャネルは1つだけではなく、すでに数十種類はありました。 そして、世界中の国々で、急速に普及していきました。この動きはその後も留まるところを知らず、この数年を振り返っただけでもGoogle Messages、TikTok、Apple Business Chatなどのチャネルの普及が進んでいます。
チャネルが普及していくパターンは見覚えのあるものでしたが、これらのモダンチャネルは、ダイレクトメール、電話、メールなどの従来のチャネルとは違います。コミュニケーションは1対1ではなく、何十億人もの人間が互いにつながっている多対多のコミュニケーションです。 ユーザーは、自分のこと、自分が気に入っていること、商品やサービスの感想などについて、今まで以上に他のユーザーと情報を共有し、企業よりも他のユーザーを信頼するようになりました。ユーザーの期待は変化し、ブランドに自分のことを知っていてもらいたい、そして必要な時に、自分流にサービスを利用したいと思うようになりました。
新しいビジネスの世界が始まったことは明らかでした。消費者が結びついているだけでなく、消費者に力が与えられている世界です。その世界では、消費者が公開プラットフォーム上でブランドを称賛ことも批判することもでき、それに影響されてブランドの評判は良くも悪くもなります。このような消費者の声とは、体験、すなわちブランドとのあらゆる対話により形成される感情なのです。
新しいビジネスの世界が陥ったポイントソリューションの混沌
今日、企業は3つの基本的な事実に直面しています。
世の中のコミュニケーションの方法は変化し、数十億人の消費者がメールや電話などの従来のチャネルから、ソーシャル、メッセージング、チャット、テキストなどのモダンチャネルに移っています。
顧客が共有する体験データは、かつてない膨大な量であり、しかも構造化されていません。企業はそのようなデータを所有することはできず、CRMのような従来のシステムはそのようなデータを管理できるように作られてはいません。
消費者の期待が変わったため、瞬時に利用でき、パーソナライズされた、能動的で一貫性のある体験が何よりも重視されるようになりました。その結果、フロントオフィスのすべての顧客接点部門が従来のアプローチの再考を迫られています。
大企業にとっては、顧客体験を管理すること、言い換えれば、顧客をひとりの人間として認識し、サービスを提供して、顧客が何十ものチャネルと顧客接点部門の間を移動する際に、すべての顧客接点で毎回点と点をつなげることが、これまで以上に重要になっています。 それは大きな課題でもあります。そして、この課題に対応する準備ができている大企業は多くありません。
長年にわたり、企業はそのために大規模な投資をしてきました。このような変化が起こったために、すべての顧客接点部門に新しい能力が必要になることを認識していました。企業は、CRM、ウェブ、メールのための従来型のエンタープライズプラットフォームを備えていましたが、変化に適応するためのより新しいテクノロジーも必要でした。
市場が大きく変化するたびに、顧客体験に関する問題のごく限られた部分だけを解決するための新しいポイントソリューションの波が起きます。マーケティング部門はコンテンツ用のポイントソリューション、インフルエンサーを管理するためのソリューション、さらに広告用のソリューションを購入しました。 カスタマーサポート部門はライブチャット用のポイントソリューション、さらにチャットボット用に別のポイントソリューションを、そしてさらにコミュニティ用にもポイントソリューションを購入しました。 リサーチ部門はリスニング専用のソリューションを購入しました。 セールスはアドボカシー用のソリューションを購入しました。
しかし、テクノロジーが互いに連携して機能するように構築されていなければ、それを使う人も連携できません。その結果は、孤立したチーム、連携しないツール、占有されたデータ、重複した顧客IDとキャンペーンID、ワークフローの中断、分析対象ごとに分かれたアナリティクス、および限られたガバナンスにつながります。
企業はポイントソリューションの混沌に陥り、顧客体験は大けがを負う結果になりました。その後何百万ドルも費やしているにもかかわらずけがは治ってはいません。
統合CXM:エンタープライズソフトウェアの必然的な新カテゴリー
企業は新たな道筋を必要としています。
チャネル横断的なコミュニケーションの方法 - 顧客が最も利用する数十のデジタルチャネル、そして二番目によく利用されるチャネルで、顧客の声を傾聴し、エンゲージし、リーチします。
体験データを活用する方法 - 強力なAIを活用し、今も増え続ける膨大な顧客体験データ(非構造化データ)を分析します。加えて、プライバシー保護機能が組み込まれたスケーラブルなオートメーションを使用します。
顧客接点業務をモダナイズして部門間連携を可能にする方法 – 各顧客接点部門に必要なシングルコードベースで構築された次世代型機能(共有ガバナンス、ワークフロー、およびオートメーション)を提供することで、あらゆる機能の連動と人間の連携を実現します。
私たちはこれを統合カスタマーエクスペリエンス管理(統合CXM)と呼んでいます。 この10年間で、当社は世界の人々に愛されている多くの最大手ブランドと共に、顧客体験の課題を解決するために構築されたエンタープライズ用ソフトウェアという新しいカテゴリーを開拓しました。
現在、世界で最も価値のある企業のうちの1,000 社以上、Microsoft、P&G、Samsungなどのグローバルブランドが、デジタルトランスフォーメーションの重要なバックボーンとして、世界初の統合CXMプラットフォームであるSprinklrを信頼してくださっています。
Sprinklrは、フロントオフィスのすべての顧客接点部門(カスタマーケア、マーケティング、セールス、リサーチ)が連携し、35以上のデジタルチャネルを通じて数十億もの潜在顧客とコミュニケーションをとり、個別のニーズをリアルタイムで理解し、それぞれのニーズに合わせて行動することを可能にします。それによって、かつては不可能だった規模で、企業とすべての顧客とのあらゆる対話に人間的な体験を提供することができます。しかもそのすべてを1つの統統合プラットフォーム上で一元的に管理できるのです。
現在にふさわしいアイデア
設立当初から、私たちはこれまでにないエンタープライズソフトウェア会社を目指していました。
私たちのミッションは世界中のすべての組織の顧客満足度向上を支えること。ビジョンは、世界で最も愛されるエンタープライズソフトウェア企業になることです。 そして何よりも、世界はこれまで以上に人々がつながって混沌としているかもしれませんが、人はあなたがその人にどのような感覚・感情を与えたかを忘れないということは、変わらない真実であると信じています。
この概念は、私たちが認識する課題の、私たちが構築したプラットフォームの、そして私たちが目指す企業文化の中心にあります。Sprinklrの企業文化は顧客中心主義であり、社員を家族のように扱い、Sprinklrの一員であること、Sprinklrが作るものを誇りに思い、それにふさわしい行動をとることを旨としています。
私は自分の人生を生きる過程で、川が峡谷を形作るように、永遠の美しさと偉大さを備えたものの創造には時間がかかると信じるようになりました。 水の流れが新しい道を見つけると、その結果は「もしそうだったら」ではなく「そうなった時」となります。
統合CXMは「現在にふさわしいアイデア」だと言ってきましたが、今こそが本当にこのアイデアが活きるときだと思います。 次に挙げることを皆様も私たちと同じように信じていらっしゃるでしょうか。
チャネルは急増しており、今後も増加し続ける。
データは指数関数的に増え続けていて、企業がそれを所有することはできない。
顧客同士はつながり、力を与えられ、新しい期待を持っている。
ポイントソリューションの混沌が断片的な顧客体験につながり、フロントオフィスは機能しなくなる。
統合CXMは、いまのエンタープライズにとって最も戦略的な投資のひとつである。
もし信じていらっしゃるなら、私たちの旅にご招待します。そしてエンタープライズソフトウェアの新しいカテゴリーを一緒に作りましょう。ブランドをもっと人間らしく、そして、お客様にはもっとハッピーになっていただきましょう。
私たちはまだスタートしたばかりです。
最高のときは、これからやって来ます。
Ragy Thomas
創業者、会長兼CEO